DIYでアルマイト処理に挑戦 その1

Don West

2019年10月26日 21:55

オフシーズンを利用してフライロッドのリビルドをする予定で色々と準備をしています。
そのひとつとしてアルマイト処理に挑戦してみました。

昔々、DAIWAのSSシリーズというスピニングリールに、『塗装ではありません。アルマイト処理です。』とのステッカーが貼ってあったのを覚えています。塗装とは違って剥げないし錆びないということを売り文句にしていましたね。つや消しの黒いリールがカッコよく感じたものです。

で、何をアルマイト処理するのか。
リールシートの金具です。
中々お気に入りのリールシートって見つからないんです。OrvisのSuper Fineシリーズでブラックチューブになった頃からリールシートの金具はブラックになっています。これがカッコよくて好きなんです。
コルクスペーサーのリング&リングでブラックのリールシートを探したのですが見つかりませんでした。だったら自分で黒くしてしまえ、ということです。

前置きが長くなりましたが、入手しやすいANGLEのリールシートを使いました。リングとエンドキャップがアルミで、これを黒くしてしまいます。



先ずは電気を通すためにアルミ線との接点を作ります。
リングは内径より少し短く切った割り箸で内側からアルミ線を押し付けます。接点部分にはアルマイトがかからないため目立たない所に接点を作ります。
エンドキャップは裏側の突起部にアルミ線を巻き付けペンチで圧着しました。
今回、2組を同時に処理したのですが、1組はエンドキャップの接点が少しぐらついていましたが、そのまま強行。これが後々影響してしまいます。


テスターで確認してみると電気を通しません。やはり白アルマイト処理がなされています。先ずはこれを剥離しないと。
専用薬剤もあるみたいですが、パイプユニュシュで代用できるとのネット情報が。
タッパーにパイプユニュシュをパーツが浸るくらい入れて湯煎で熱燗程度に温めます。パーツ投入後2〜3分で泡立ってきますので、それが白アルマイトが剥離しアルミの地金が出た合図だそうです。リングは直ぐに泡立ちますがエンドキャップは中々泡立ちません。もしかしたらアルミの種類が違うのかもしれませんね。長い時間漬けているとアルミの表面が荒れるので全体から十分に泡立ってきたら終了です。白アルマイトだと剥離されたのが見た目でわからないので少し長めに漬けたほうが良いと思います。

後は水道水でよく洗い流すのですが、エンドキャップは表面に波状のくすみが残っていました。再度パイプユニュシュへ投入し、少し長めに放置したところ綺麗になりました。

台所用中性洗剤でしつこいくらいよ〜く洗い、アルミ線に固定しますが、指脂などが付かないように手袋をしての作業になります。汚れや脂が残らないよう細心の注意が必要とのことです。

アルミ線に固定したらいよいよ陽極酸化処理です。何やら難しい単語ですが、希硫酸の中でアルミを+極に電流を流すことでアルミの表面を錆びさせる、ということです。

電流を流すと―極の鉛板から細かい泡が出ます。液温が20℃を超えないよう外側に一回り大きいタッパーに水を張り冷やしながら30分間通電します。


電源は12Vで5Aもあれば十分ですが、30分通電するので車のバッテリーでは最後まで安定して通電できるか不安でした。持っている充電器はスイッチング式なのですが、スイッチング方式では駄目だそうです。そこでトランス(リニア)方式の安定化電源を導入しました。最近は充電器はほぼスイッチング式となっているみたいですが、アマチュア無線や実験用にトランス方式も生き残っていました。


さて、この後は染色と封孔処理となりすが、続きはその2で。


アルマイト処理に必要な物は、電源のほかにパイプユニュシュ、台所用中性洗剤、アルミ線、鉛板、ワニ口クリップ、タッパー、鍋、コンロ、精製水(バッテリー補充液)など、ホームセンターで入手可能な物が殆どです。
一方で、希硫酸、染料、封孔剤(酢酸ニッケル)は入手が難しいです。
以前はバッテリー電解液として硫酸が売っていましたが今では犯罪防止のため一般購入は困難です。
染料は繊維染色用でも良いとの話もありますが専用染料の方が耐久性などに優れるみたいです。
封孔剤はまず一般に入手することは不可能です。ただの水で煮沸するだけの方法もあるみたいです。酢酸ニッケルは発がん性があるとも言われていますし、ミストの吸入も避けるべしとなっています。できれば使いたくないですね。

で、道具は手に入るが試薬は入手が困難なので、これらをまとめたキットを購入しました。少し割高かもしれませんが、買い集める手間を考えればお手軽ではあります。

関連記事